「中央フリーウェイ」




ダークシグナーとの戦いが終わって…そろそろ半年。いろいろなことが変わった。
サテライトとシティはダイダロスブリッジが作られて一つになったし。
ジャックは仲間達3人でDホイールの開発のために
マーサさんのツテで倉庫を借りて日夜実験をしているし
そしてとうとう今日から来年開かれる大会のために
試験的に高速道路でのライディングデュエルが解禁される。
今日は、そのライディングデュエルの記事を書くためにここに来た。

「んー本当、景色も随分変わっちゃったなあ…」
私自身に関わることも色々変わった。

…まず、デッキ。
『いやああああ!!占い魔女達がなんかかおっきくなってるうううぅぅ!!』
ちびっこくて可愛い占い魔女達は色っぽいフォーチュンレディに成長?してしまっていた。
『元から持っていたわけではなかったのか…
まあ、元に戻らなかったのだから諦めてこのデッキを使いこなせるようになれば問題は無い』
とか言ってジャックがやたらとイキイキと指導をしてくれた。
…本当、ジャックってデュエルをしているときは凄く楽しそうよね。
思い出して笑みが浮かぶ。

あと、交友関係も広がった。
ミスティさんとも随分仲良くなったし
(ミスティさんもダークシグナーになっていたらしい、全然想像つかないけど)
ジャック繋がりという事もあるけれど、あの現キング不動遊星やクロウ、十六夜アキ…
いろいろな人と知り合うことができて、周りが随分騒がしくなった。

で、もう一つ変わったこと…それは…
「ちょ、ちょっと…カーリーよ…ね?カーリーー!!」
聞き覚えのある声がぶろろろと車のエンジン音と共に近づいてきた。
「あ、アンジェラ〜」
「アンジェラ〜じゃないわよ!!どうしたのよそのD・ホイール!!あと格好!!」
ぶんぶんと指をさされる先には…どう考えても私しかいない。
…どう説明すればいいのだろう。
ダークシグナーになったときにどうやら使っていたらしいD・ホイール…とかいえない。
言えるわけない。
ちなみに、作成はジャックの友達の一人である鬼柳という人で、彼のD・ホイール同系統。
鬼柳さんからたくさん説明を聞いたけど
なんだか仰々しい羽っぽいパーツがついていて派手で
これ、走るとき邪魔にならないのかなあ?とかどうでもいいことばかり気になった。
「いろいろあってD・ホイールは譲ってもらって
…衣装はミスティさんがこれじゃなきゃダメって…」
「ミ、ミスティ!?あのトップモデルのミスティの事じゃないでしょうね!?」
「うん、そのミスティさんだけど、どうかしたの?」
ミスティさんが用意してくれたライダースーツは
黒地にオレンジ色の模様の入ったエキゾチックでいて、凄くセクシーな衣装。
ちなみにメガネは危ないのでコンタクトにしている。
『ふふふ、その格好でジャックの前に出て御覧なさい、きっと喜ぶわよ?』
とかミスティさんが微笑んで送り出してくれたけれど…だ、大丈夫かな?
「…この格好…モデルのミスティさんみたいなナイスバディじゃないと厳しいわよね…
ヘソ丸出しだし、なんか裾の切れ込みすごいし」
ああ、不安になってきた。

うーんうーんと唸っている間に、他の高速から合流してきた車の向こうから
見覚えのある白いD・ホイールがやってくるのが見えた。ちかちかとライトが光っている。
「あ、ジャックだ」
「待たせたな!!カーリー!!」
D・ホイールの画面が点滅してジャックからデュエルの申し込みが入る。
ぽちぽちとボタンを押して、さあ、デュエルスタートだ。
「スピードワールド2セットオン!!」
『デュエルモードスタンバイ…オートパイロット…』
『これよりライディングデュエルが開催されます…一般車両の方は…』
「う、うそおおおお!?カーリーがジャック・アトラスとライディングデュエル!?
そんなのうそよおおおお!!」
電子音のアナウンスが鳴り響く中、アンジェラが頭を抱えて悲鳴をあげている。
…ちょっとだけ、やった!!勝った!!何に勝ったのかはわからないけれど!!とか思った。
まあ、すぐにアンジェラの事は忘れた。

ジャックと二人で決められたコースに行くまで並走する。

「えっと、最初のカーブを先に制したものが先行で
…どっかーんとぶつかるぐらいにやればいいのかな?」
「ちーがーう!!…まったくどこでそんなライディングデュエルの仕方を覚えてきた!!」
「え、鬼柳さん」
「…あいつのいう事を真に受けるな」
カンタンにジャックから仕様を聞いて、とうとうはじめてのライディングデュエルだ。
…2回目らしいのだけど、覚えていないのでノーカウント。

すごく緊張する。
そんな私を見てジャックが不敵に笑う。
「行くぞ…ライディングデュエル…アクセラレーション!!」
「ふえ、え、ええもう!?アクセラレーション!!」
ジャックのD・ホイールがスピードを上げて私の前を走る。
「先攻は俺のようだな!!…俺のターン、ドロー!!」


空は青くて、海鳥はにゃーにゃー鳴いてて、潮風も気持ちいいし、
これが仕事じゃなかったら本当に気持ちのいいデュエルだったのに、ちょっと残念。
あー!!このままずーっとジャックとデュエルしていたいー!!

「…うーん、Dホイールに乗って戦う夫婦デュエリストもいいかもしれないわね
未来の計画にいれておかなくちゃ!!」
「カーリー何か言ったか?」
「ううん、なんでもない…私のターンね!!…ドロー!!」





そうして楽しいデュエルの時間を二人で過ごした。
もちろん肝心の記事は忘れていない。
おかげさまで臨場感のある記事が書けた、編集長にも褒められてとてもいい気分。

ぶろろろろとエンジン音を響かせて夕暮れの高速道路を走る。

…ジャック達がデュエルが好きでたまらない理由が少しだけわかった気がする。
まだまだわかってないって言われて、デュエルをすることになるかもしれない。
それは面白そう。
その勝負!!受けてたつんだから!!

想像の中でデュエルを二人でしながら、D・ホイールのアクセルを全力で踏んで走った。


fin

09/07/04up

タイトル毎回困ってしまったので、好きな曲から
あと、カーリー再登場したらカーリーのデッキやDホイールの行方がわかるっていうか
存在が無かったことになると思われるので、今の内にやっておいた!!
チームNEW満足で鬼柳さん達と大会に出たらいいのになあとか思って書いてみた。
いや、普通に記者してると思うんだけどな!!現実は無常である。

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