「ティーブレイク」




新しい紅茶を始めて淹れる時にはいつも緊張する。
美味しく淹れられたかなとか、美味しいって言ってくれるかなとか
そんなことを考えている間にさらさらと零れる砂時計が零れ終わった、そろそろ飲み頃だ。

紅茶をカップに入れる、ほわりといい香り。
「今回の葉はダージリンですが、お口に合うでしょうか?」
わざとそんな口調でおどけながら聞いているけれど、内心ドキドキしている。
それなのに
「ん、まあまあだな」
この元キング様はいつもこうなのだ。
だけどこのやり取りも慣れたもので、本当は美味しいと言っているのだ。
だってまあまあだな…なんて言っているけれどジャックの顔は綻んでいるんだもの。
くすくすと笑みを零すと、むむっとジャックの顔が不機嫌そうになる。
「いつもはデパートとかの紅茶コーナーとかなんだけど
ゾラさんのお店の近所に紅茶専門店ができたでしょ?そこで購入してきましたー!!
ああいうところって行くのはじめてだけど、すごい紅茶の種類でビックリしちゃった」
ジャックが気に入ってくれたのならまた行こうっと、と言うと
ふむ、とジャックが考える仕草をする。
ジャックが遊星達と新しいDホイールの開発のためにかりている倉庫も近くだから、知っているのかもしれない。
「ならば、俺も今度買ってきてやろうか、いつも買わせてばかりだと悪いからな」

ぴたっと体が固まる。

え、ジャックが…俺のモノは俺のモノ、お前のモノも俺のモノとかそんな感じで
前にジャックが滞在していたときに飲んだ紅茶とか、クリーニング代とか服代とか返ってこないけれど、
仕方ないわよねとか思っていたのに。


「な、なんだ!!いつも世話になっているからたまにはとか思っただけだろうが!!」
「う、うん、それは助かるけど」
…なんだかわからないけれど、ダークシグナーとの戦いが終わってから随分優しい。
ジャックも少しは成長したの…かなあ?

「そうね、フレーバーティーとかは、私の好みのものがジャックの口に合うかわからないから、
買ってきてくれると嬉しいけど…」
「けど…なんだ、はっきりしろ!!」
ジャックの顔を見るとむすっと怒ったような、照れているような顔になっている。
「ジャックの仕事が休みの日とかにでも今度一緒に紅茶屋さんに行かない?
…ジャックが遊星達と普段どんな場所で過ごしているか私も見たいし」
フンとかいいつつも、仕方ない、付き合ってやる。なんてぼそりと言ったので
やったーとガッツポーズをする。
「…勿論!!ジャックの奢りよね!!」
「…仕方ない」
紅茶屋だけじゃなくて、あそこの付近色々なかわいいお店あるし、付き合ってくれるかな
まるでデートみたい、凄く楽しみ。

「…まるで、ではなくてデートだろうが」
「へ?」
私、口に出して言っちゃっていたっけ?じゃなくて…!!
「俺は何か言ったか?」
「い、言った!!言ったわよ!!」
「…気のせいだ」
そういってごまかされたけど、さっきのが聞き間違えじゃないなら
…ジャックもデートのつもりって事なのかな?
そう思うと今度は私の顔が真っ赤になってくる。頬が熱い。
そんな私を見てフフンと余裕の笑みを浮かべてジャックが紅茶を飲む。

…もう、ジャックがそんなことをするなら
…試飲して美味しかったけどあの高い紅茶とか!!中国茶とか茶器からそろえたいのよね!!
買ってもらっちゃうんだから!!
ぷうっと膨れながら私も紅茶を一気に飲み干した。



fin

09/07/10up

紅茶専門店で紅茶を飲みながらポメラを貸してもらってカタカタ打ったSSを打ち直したモノ。
紅茶を飲んでいるだけなんですが、こんな風に過ごしてるに違いないです

なんか即興でネタよこせ!!とか言ってネタをくれた相方やポメラかしてくださった歌古さんありがとうございます♪


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