「好奇心は猫を餌付けする」





たまたま会った牛尾さんと狭霧さんからジャック達のところになんだか新しい人が来たという話を聞いて、
仲良くしているかな?とか思ってゾラさんのお店に向かうと、


なんだか、すごく怖いアキさんが倉庫から出てきた。

怖い、凄く怖い。
デュエルディスクを構えていたら…
ブラックローズドラゴンを召還してフィールド全てを破壊しつくしそうなぐらい怖い。
こ、怖いけど、知り合いだからっ!!

勇気を振り絞って声をかけてみたのだった。




立ち話も何だし、ゾラさんのお店の向かいにあるジャック行きつけの喫茶店でお茶でもすることにした。

「…この頃エンジンの開発が上手くいっているみたいなのよね、あの新しい同居人のおかげで」
「へ、へえーそうなんだ…上手くいってないってジャックも心配していたから…
上手くいっているみたいでよかった…」
「そうね、よかったわ」
よかったわといいつつも、ゴゴゴゴとか効果音が聞こえてきそうなんですけど。
…ちょっとだけ声をかけたのを後悔した。

「でも、そんなに忙しいのなら…ジャックも忙しいかなー…」
「そんなこと無いと思うわよ。
…忙しいの遊星だけみたいでクロウとジャック暇そうだったから」

私の入る隙間なんかなさそう、そう言いながら…
アカデミアの教科書を抱えて、フフフ、フフフフフーーーと笑うアキさん。

ああ、死んだ、私死んだ。2回目死亡です。
ブラックローズフレアで吹き飛びました。
怖いよ!! 怖いよー!!ジャック助けてっ!!

とか、そんな会話がひと段落したあたりで

「まあ、でも…遊星がそんなに新しい人…ブルーノさんと仲良くしてるならジャックも誘っても出てこないかな」
紅茶をちょっと飲んでふうとため息をつく。

「どうして?」
「だって、そうじゃない。ジャックって…遊星大好きでしょ?
そんなに遊星が楽しそうにしてるのを見たら凄く嫉妬すると思うし、
遊星の気を引こうとして作業の邪魔とかしそう」
っていうか
「うーん…アキさんのほうがきっとジャックの気持ちわかるんじゃないかな?
だって、アキさんも遊星の事好きでしょう?」
「…ッ!! 」
ガシャンッと茶器が激しい音をたてる。アキさんが咽る。
げほげほげほっとすごい咽ている。

あ、すごい真っ赤。

「…ち、ちがっ私と遊星はそういう、そういう…関係じゃ…う、でも、私は…」

…すごいわかりやすい。
なんていうか、見ているこっちが照れてくるような気がする。
ああでも、凄く応援したくなるぐらい可愛い。

「大丈夫、遊星もエンジンの開発がひと段落したらいつもの遊星に戻って、アキさんと過ごしてくれるわよ?
だって、遊星もアキさんの事好きみたいだし」
「そ、そうなのかしら…」
「ライディングデュエルの資格の時も付きっきりでコーチしてもらったとかって…」

ガッ!!ごふげふ!!と再びアキさんが咽る。
「あ、あ、あれは!!どうしても上手く乗れなくて…遊星が…デートじゃないし、龍可と龍亞もいたし…」
コーチとは言いましたが、デートとは言ってません。
うわーー凄く可愛い、可愛い。
にまーっと笑いつつ、ジャックから聞いた話を総合して他にも色々突いてみようと思ったのだけど。

「そういうカーリーは…ジャックとは…どうなの?
ミスティも心配していたけど…」
…ごぶっ
今度は私が咽る番だった。
っていうかミスティさん何をアキさんに吹き込んでるのーーっ!!

「え、ええっと…うう、私とジャックは…相変わらずというか、
アキさんと遊星みたいにデートとかそんな浮いた話もないし…っ」
「でも、ジャックとこの前、紅茶の茶葉を買いに行ったとか」
「あ、あれは!! ジャックが…節約したいけど、
いい紅茶の葉とかオススメ無いかーって聞いてきたから教えてあげただけだし
…デートとか、そんな話じゃないんだからっ!!」

楽しかったけど!!
ジャックも楽しそうにしてくれていたと思う…けど!!

「…っていうか、ジャックも私の事をどう思ってるのか…わからないのよね…」
小さくため息をつく。

「…私も。遊星は優しいけど…皆に優しいもの…」
アキさんも小さくため息を零す。

ああ、ちょっと私の立場とは違うけれど、アキさんの気持ちわかるなあ。
不安になっちゃうわよね、そういうの。

「えへへ、お互い…大変だね、アキさん」
「……そうね」
…ああよかった、最初はすごい形相で今にもこの広場が破壊しつくされそうな勢いだったけど、大丈夫かな?
でもまだちょっと心配かも。

…よーし、ちょっとお姉さんが援護しちゃうんだから!!

「そうだ、今度遊星のところに行くとき…差し入れとか持っていったらいいかもね
サンドウィッチとか作業をしながらつまめるものとか…きっと遊星喜ぶと思うわ」
「…喜ぶ、かしら」
「うん、絶対喜ぶよ!!」
ふわりと笑うアキさんは凄く美人で綺麗。
ああもう本当凄く可愛い。抱きしめちゃいたいぐらい可愛いよー!!

「カーリー、暇なときに一緒に…作らない?
せっかくだから、作ってみたいと思ったのだけど…私、料理とかしたことなくて…」
「よし任せなさい!!…あ、いつがいいかな?アキさん学校あるわよね、その後がいいわよねー!!」
取材とかあるけれど、そこはアキさんと相談して調節すればいいし。

「ジャックもカーリーさんが作ってくれたモノなら喜んでくれるでしょうし」
「ないない、いつも文句ばっかりだもの!!」
でも、今回はちょっと頑張ろうかな?
…まあ、サンドウィッチぐらいだと普通のモノしか作れないだろうけど。

凄く楽しみになってきた。


…まあ、その後。
さすが料理初心者が一緒で、トドメに私も教えるほど料理が上手ではない。
結局、アキさんのお母さんが思わず助け舟を出してしまうぐらい大変な事態になってしまったのは
情けないから秘密にしておこうと思う。

それでも、苦労してつくった差し入れはなんとか出来て持っていくことが出来た。
勿論、遊星は喜んでくれて、他のメンバーにも好評で。
真っ赤になって照れているアキさんを見て私は満足したのだった。





fin

09/10/14up

80話見た瞬間、これはもう素晴らしい燃料投下!!
いやもう公式が最大手ですともよぉおお!!とかハアハアしながら勢いに任せて書いてみた。
嫉妬アキさん可愛い、すっげえ可愛い。
カーリーが出ているのは趣味です、展開的にあんまり出そうにないのですが
またジャックメインの回に出てきてくれると信じてッ!!

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