「冬の王様とその友達」
漫画版GXに藤原を乱入させてみた話
モニターを見ていると、どうやら万丈目君と亮の戦いももそろそろ終わりに近づいているらしい。
まあ、僕にとってはどうでもいいことなのだけど(だって、勝つのは亮だしなあ)
いつかは万丈目君と戦うかもしれないし、亮のデュエルは何度見てもいいものだ。
だから、後ろから突撃してきた藤原に気がつかなかった。
「吹雪―!! おかえりー!!」
「うわあっ藤原!!」
後ろから突撃されてよろよろっとバランスを崩しそうになったので、
文句を言ってやろうかと思ったのだが
「モニタが客席を映したときに亮と吹雪が一緒にいたから、もしかしたらって思ったら…
やっぱり吹雪だ…よかった、見間違えじゃなくて…」
藤原が嬉しそうに微笑んでいるので、怒るのはやめることにした。
「改めてだけど、おかえり…吹雪」
「うん、ただいま藤原」
「藤原はこの大会に参加しなかったのかい?」
「んー…亮とデュエルするまでにあのメンツと戦っていたら体力持たないよ…」
「勿体ないなあ、藤原は強いのに」
そんなことは無いよ、と笑う藤原。
体力の無さや部屋に篭ってなにやら怪しげな研究をしてばかりで表に出ないので
(ついでに授業にも出てこない日もあるので留年の危険があるらしい)
藤原の実力を知っている者は少ない。
…本当に勿体ないと思う。
「まあ、また今度デュエルしよう吹雪、
これから亮も含めて3人でこれからはいくらでもデュエルできるなんて嬉しいな」
「そうだね、留学前の最後のデュエルは負けてしまったしね」
「今度も負けないよ」
そんなたわいも無い話をしていたが
「吹雪何か用事でもあったんじゃなかったの?」
「あ、そうだね…マッケンジーを探していたのだけど、彼女見なかった?」
「え?マッケンジー…って留学生の?」
藤原の目が険しくなる。物凄く難しい顔をしている。
「…何か彼女とあったの?」
様子が少しおかしいから聞いてみると
ぱっとすぐにいつもの藤原の顔に戻る。
「え、ええ!?そんなこと無いよ!!
…吹雪と彼女どういう関係なのかなとかちょっとは思ったけど…まさか留学中に…」
「ははは、まだそんな仲じゃないよ?」
「彼女キツそうだから、吹雪には合わないと思うけど」
むすっとした顔をする藤原を見ているとなんだかおかしくて笑いが零れる。
「…嫉妬?」
「…ち、ちがうよ!!」
そうして、どうしてマッケンジーの名前が出たときに藤原があんな顔をしていたなんてことはすっかり忘れてしまった。
*
あまり引き止めるのも悪いだろうと思って、吹雪を送り出す。
吹雪が向かった出口とは反対に、島がよく見える位置の窓に向かう。
「マッケンジーか…吹雪、面倒なことに巻き込まれなきゃいいけど…」
『マスターは本当にあの二人が大事なのですね』
「うん」
ふわりとオネストが隣に現れる。
トーナメントには元々興味無かったのだけど、
たまたま篭っていた部屋から出て散歩がてらに見学をしにいった。
そこでトーナメントに参加しているという彼女やもう一人の留学生を見かけたとき、得体の知れない気配を感じた。
彼らの視線の先に自分がいなかったことに酷く安心したけれど、
この先どうなるかわからない。
…それで、怖くなってここ数日は部屋に篭りきりだった。
「幸い、あの変な気配の一つは消えたみたいだし…」
もう一つはなぜかこの学校から離れて森の廃寮付近で感じる。
「連中の目的は吹雪じゃないだろうし、吹雪もあんな場所に向かったりはしないと思うけど…」
うう、心配だ、どうしようどうしよう。
だからって吹雪にマッケンジーに関わるのをやめてとか言って、
理由を言っても信じてもらえるのだろうか?
俺に精霊が見えること。
あの留学生二人からは得体の知れない気配がすること。
…多分、吹雪も亮も真剣に俺の話を聞いてくれると思うけれど。
ちょっとだけ信じてもらえなかったらどうしようなんて考えてる。
…そうこうしている間に吹雪が危険な目に首を突っ込もうとしているのかもしれないのに
物凄く自己嫌悪に陥りながらぐるぐるとずっと考えている。
結局、そうこうしている間に森の変な気配も突然消えてしまって、俺の懸念は杞憂に終わった。
「…よかったあ…」
『マスター、立てますか?』
「う…たてない…」
へなへなと崩れ落ちる俺をオネストが支えようとしながら苦笑する。
オネストに辛うじて微笑み返す。
俺は何もしてないけれど多分これで大丈夫だろう、これから卒業までまた3人で楽しく過ごそう。
そんな風に思っていたけれど
…結局これはこの後に起こる本当の騒動の始まりだなんて、このときの俺にはわかるはずがなかった。
おわる
09/07/31up
漫画版には藤原いなさそうだよ!!とオヨヨと泣いている晴波さんに
こうなったら藤原を介入させるしか!!とか思いついたので書いてみたSS。
いやもう本当ユベルよりは可能性あると思うんですよ本当(笑)
デッキはクリアワールドだけど属性が光とかでオネストが使いやすい環境になっていると勝手に妄想中。
いやだってこの藤原だと闇に落ちそうにないから闇属性似合わないんだもん!!
以上、妄想駄々漏れSSでした。
結構前に出来上がってたのですが、ネタがネタだけにアップしていいのかしらとか思っていたら、
フブキングと藤原なんだかブーム?なので便乗アップなのさ!!
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