「Reloaded」
注意:捏造前世話が混じっております
醜い異形の体を抱きしめて、愛している、永遠に愛している。
君だけを愛していると何度も何度も君は僕に囁く。
…でも、それは本当に愛なのかな?
同情や負い目を愛だと言い張っていただけなのではないのか
…そんなことを直接聞く事は怖くて出来ないけれど
抜けない針のようにいつまでも僕の心に刺さっていた。
*
戦場では役に立てる僕も、普段は邪魔なだけだ、気配を消して…離れた場所から彼を見守っている。
「おーい覇王〜おまえ結婚するって本当?」
「ん?」
森の奥深く…精霊が住むといわれる森で生半可な人間ではたどり着けない場所で、
今は世界王の王子という本来の肩書きよりも、
覇王と呼ばれることの多くなった僕の王子が
子供の頃から何かしらサボリたいことがあるたびに逃げ込む秘密の場所だ。
…でも、宝玉獣に加護された虹の国の王子には関係のないことらしい。
肩に乗った、道案内をしたルビー・カーバンクルが嬉しそうにるびるびと鳴いている。
虹の国の王子の声に…逃げ込んでも溜めた仕事を放置するわけにはいかないから、
書簡などを持ってきて目を通していたが、読んでいた資料を横に置いて返事をする。
「…ああ、その事か…僕は断るつもりなんだけど」
「そうなのかよ、相手があの姫さんだろ?受けるんだと思っていたぜ」
「…あの子の事は妹ぐらいにしか思っていない」
はあ、とため息をつく。
「あーそれで逃げていたわけかー…」
「ああ、老人どもは煩い…ところで、僕を連れ戻しに来たのじゃないのか?」
それに対して虹の国の王子は苦笑いを浮かべる。
「んー確かにサンダーのヤツに「あの馬鹿に帰って来い」って伝えろって言われたけど、
連れ戻せとは聞いてないからなー」
馴染みの雷の騎士が他にいいそうなことを想像して二人が笑う。
そうしてしばらく世間話をした後、
虹の国の王子は「伝言終わったし俺は帰るわー適当に戻ってこいよー」そういって去っていった。
しばらくして、資料を読み終わったのだろう。
「ユベル、さっきの話聞いていたのだろう?」
困ったものだよな、そう言いながら僕のいるほうを見上げ、こっちに来いと呼ぶ。
言われるがままに傍に降り立つ。
「…はい、王子…ですが…」
続く言葉に王子が首をかしげる。
「彼女であれば身分も性格も申し分ありません、王子の妃に相応しいかと」
僕はどうして、こんな…彼を試すようなことを言っているのだろう。
「ユベル、僕には君だけだ。誰かを娶る気は無い」
答えはいつも変わらない。王子は少しだけ強い声音ではっきりと言い切る。
「…愛しているのは君だけだ」
そういって強引に引き寄せて何度も愛してると囁く。
けれど彼は絶対に僕の気持ちを聞こうとはしない。
…それが、酷く辛いときがある。
最後の時にもそれは変わらなかった。
「…ユベル、愛している」
血に濡れた両手で抱きしめられる。
…だけど、それは本当に愛なのだろうか、本当に愛してくれているの?
一人の人間の人生を狂わせてしまったことを後悔した末の贖罪ではないの?
「僕も…僕も…愛しています」
彼の最後の瞬間なのにそんなことが頭によぎったから否定するように、
けれど、かすれた声でなんとか言い返す。
…僕が王子を愛しているのは本当だから、最後の最後にようやく言葉になる。
もっと、早く言えば良かった。
そう、僕は君を愛している。本当に愛している。
だから、こんなに苦しいんだ。
ねえ、こんな関係でなければ…君の言葉をもっと素直に受け止めて幸せだったかな。
苦しいよ、辛いよ。
ねえ、本当に愛してるなら、どうして僕を一人にするの?
酷いよ、さみしいよ。
君がいない世界でずっと僕は自分を、君を責め続ける。
そうして自分で自分を追い詰める僕は少しずつ壊れていく。
もう一度会えるなら、やりなおしたいよ
そうすれば、今度はもう間違えないのに。
*
それから、ずっとずっと、気が遠くなるほどの時間がながれて
「…ユベル…こわいゆめでもみたの?」
ベッドの中からもそもそと子供が起きて中空に浮く精霊を見上げる。
いつの間にか夢を見て泣いていたらしい…その声で十代を起こしてしまったようだ。
『…悲しい夢を少し』
「だいじょうぶ?」
『目が覚めたら十代がいてくれたから、大丈夫』
心配そうに見上げながら手をそっと伸ばして僕の頬に触れる。
そのやわらかくて暖かい手を化け物の手で傷つけないようにそっと重ねる。
そうすると十代がえへへと嬉しそうに笑う。
僕の王子は今、前世の記憶も覇王の力も何も無いか弱い十代という名前の子供だ。
でも、それでいい。よけいなものは何もいらない。
「ユベル、大好き」
『僕もだよ、十代…愛してる。
ねえ、十代…僕達はずっと一緒だよね?』
「うん!ずっと一緒だよユベル!!」
両手を広げて十代が僕を抱きしめる。
一人の時間が長すぎて、苦しくて、辛くてたまらなくて、気が狂いそうだった。
今度は、もう絶対間違えない。
何も知らない子供の君、僕が守らなければ傷ついて泣いてしまうか弱い君。
愛しくてたまらない、千の言葉を尽くしてもきっと伝え切れないほど愛してる。
君を傷つけるもの、泣かせるものからずっとずっと守ってあげる。
…僕から君を奪うものは殺してあげる。
ねえ、僕はこんなに君の事を愛しているのだから
…今度こそ僕の事を本当に愛してくれるよね?
愛してくれないなんてことありえない。
愛してくれるに違いない。
愛してくれるのが当然だ。
だって、愛しているっていつも言ってくれたじゃない。
十代はとても暖かくて気持ちいい。自然と笑みがこぼれる。
…その笑顔が酷く歪んでいたことには、気がつかないままで僕は十代を抱きしめ続けた。
今度こそ、絶対に間違えない。
そんなことを思っていても…壊れた思考では何度でも間違いしか起こさないなんて、わかるはずがなかった。
fin
09/08/14up
随分前に書いた前世捏造話とも微妙に繋がってる(つもり)の前世捏造混じりのSS。
虹の王子様は多分ヨハンとかの前世とかところどころにGXのキャラ配置してますが
気にしないで読めばいいと思うんだぜ!!
ユベルって現世で十代に出会った頃から既に壊れた性格だったので
これぐらいやらないとヤンデレにならないんじゃない?とか思ってるんですがどうなんだろ。
しかし私の脳内で一番の病んでるキャラはユベルじゃなくて前世十代だと思ってる。
だって、性格歪まないほうがおかしいぜ!!とか思うんだぜ!!
ちなみに、この妄想が晴波さんとキャッキャウフフと広がって長編捏造GX古代編へと広がったのですが
あまりにも内容がアレ過ぎる内容なのでアップ予定無いのでした!!誰得SSだよ!!
目次へ