「予想外で計算外」





お昼休みのカフェテラスで優雅にサンドイッチを頬張りながら次の授業は何だったかしらなんて考えていたら
聞き覚えのある騒がしい声が聞こえてくる。
「だーかーら!翔!!三沢!!デュエルモンスターズの精霊って本当にいるんだってば!なあ万丈目」
「…俺に話題を振るな」
「はいはい、もうそこらへんにしなさい」
ふんといいながらもなんだかんだで珍しくあの万丈目が
レッドの生意気な遊城十代や丸藤の弟に秀才の三沢と目立つ3人組と一緒にいる。
…あらやだ、あの天上院明日香までいるじゃない。
とまあ、ミスアカデミアでいろいろあったメンツがそろっている。
いやな思い出を思い出して適当にお昼切り上げて教室に戻ろうかしらなんて思っていると


「いや、なんていうかあの十代って子おもしろいことを言うねえ、精霊なんて信じているなんて」
隣の席から天上院明日香の兄である天上院吹雪の笑う声が聞こえてきた。

「ほほえましいじゃないか」
それにたいして丸藤亮があまりそういう風に笑うことじゃないだろうと吹雪をたしなめている。
「ねえねえ小日向〜小日向はどうおもう?」

唐突に話題を振られる。
まあ、一応同級生だし、去年まではキングにカイザー、そしてクイーンなんて称号で呼ばれていたし、
クラスメイト以上友人未満ぐらいの知り合いではあるので答えてあげることにした。

「そうね」
まあ、興味深い内容ではあるので食べかけのサンドイッチを飲み込んでから答える。

「私はカードに精霊が宿るというのも可能性がないとはいえないと思うけど」
「へえ、小日向って以外にロマンチスト?」
「あら、日本には物に魂が宿るという話があることしらないの?
私達デュエリストはデッキにすべてを賭けているわ、さまざまな思いをね、
デッキはデュエリストの魂と言ってもいいものよ。
強い思いがあればそれがカードに宿るとか信じているわけじゃないけれど、そうであれば素敵でしょ?」

まあ、遊城十代までの思いこみの激しさまでいけば病気だけどとは口に出さないで思っておく。

「ふうん、本当意外だったなぁ、元クイーンにそういう部分があるとは3年間一緒だったのに知らなかったなあ」
「ふん、なんとでも言いなさい。
っていうか、貴方達だってここぞという時に神頼みとかしたくなる時あるでしょう?」
「まあ、確かにたまにあるな」
くすりと丸藤が苦笑しながら頷く。
「僕には無いなぁ」
まったくもって可愛くない王様だ。

とか、思っていると。

「…というわけで、小日向君は君の意見に賛同してくれるそうだよ十代君」
「小日向先輩〜〜〜〜!!!!!」

…はい?
と、思いながら振り返ると涙目の、ただし嬉し涙の遊城十代がいつのまにかいて、抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと!!あんた何しているのよおおお!!」
「うわーん!!だって俺の言うこと皆信じてくれないし、万丈目はシラ切るし、先輩ぐらいなんだもん〜!!」
「べ、別に信じてるわけじゃないわよ!!そういうことがあれば素敵じゃないとか言っただけじゃないの!!」
ぐにににと必死に引きはがそうとするけれど、十代は離れない。
「あははは、可愛い後輩に好かれて良かったじゃないか小日向」
「天上院!ちょっとアンタが私に話題振ったのが原因でしょおう!?こいつ引き剥がすの手伝いなさいよ!!」
「うーん、どうしよう?」
けらけらと笑う吹雪に殺意が芽生える、呪いあれ!!フブキング!!
お前なんかねらってるあの留学生にこっぴどく振られちゃえばいいのよ!!

結局、丸藤と万丈目が十代を引き剥がしてくれたのだけど…。

それ以降、なぜか遊城十代が私にまとわりつくようになった。
頭が痛い。

「小日向先輩ー!!」
「だああああ!何で3年の教室にまでアンタが来るのよ!!」
「…えー」
ああもう、そんなしょんぼりした顔しないでちょうだい!!
同級生達の視線が痛い、すごく痛いんだから!!
「ああもう仕方ないわね、今日は何?また授業でわからないことでもあったの?」
「ううん。小日向先輩と今日はデュエルしようと思って。
だって先輩とのデュエル楽しいし」
そりゃ、アンタは負けても勝っても楽しいでしょうよ。
私はアンタとデュエルすると負けることが多いからイヤなのよ!!
でもそんなきらきらした目で見られたら、仕方ないじゃない。

「…一回だけよ」
「やったー!!」
この場所は人が多すぎるからずるずると遊城十代をひっぱって教室を出ていく。

ああもう、今日こそこてんぱんにやっつけてやるんだから!!



「…いやもう、いっそあの二人つきあえばいいのに」
「ただの後輩と先輩だろう?」
恋愛ごとに疎い丸藤はだめだなあ、なんて思いながらにんまりと笑いながら二人が出ていった教室のドアを見る。
「だってさ、イヤだとかいいながらさ、
小日向の顔…このごろ遊城十代がくるとちょっとだけ嬉しそうな顔するんだよ」
逆に今日はこなかったなんて少しムカついた顔をするときもある。
思い出しただけで楽しくてたまらない。

「いやーあの鉄壁の蛇の女王にも遅い春が来るとはねー」
「いつか刺されるぞ、小日向に」
「ああ、それは困るなあ」
けらけら笑う僕を丸藤はあきれたようなため息を一つついていた。



fin



09/09/02up

小日向先輩は多分ツンデレでかわいい。とか妄想が突っ走りすぎてるSS
再登場は怪しいトコロですが(出ても留学生にフルボッコとかありそうで心配、闇のデュエルに巻き込まれたら…美味しいな!!)
なんだか妄想のスイッチがバシーンとオンになってしまいました!!
VS十代戦で負けて十代に楽しいデュエルだったぜ!!とか言われた後の2コマの顔の変化が可愛かった。
たまに顔芸するけどかわいい先輩だと思うのですよ!!(きっかけあれば十代や明日香と仲良くできそうだと思うんですがねえ)
明日香にクイーンは貴方よとか言っちゃうあたりとか
クイーンの座を取り戻すために本気でデュエルしちゃうところとかツボズギューンです。

まだ別にカプとかじゃないですが、十星とかマイナーにもホドがあるけどそれっぽいのを今後も書きそうです。私が楽しい!!

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