「Cursed triangle」
覇ジムっていうよりも、覇王→ジム→十代な一方通行。えろいの目指して大失敗









覇王との命がけのデュエルにあと少しというところで負けてしまった。
そして、俺は死んでしまったはずだった。


だけど、片方だけの瞳にぼんやり映るのは硬質な鉱石が冷たく輝く覇王の城の材質に似た部屋の天井で、


ぎしり、とベッドを軋ませて起き上がれば、窓にはギャアギャアと醜いモンスターが飛んでいる。

ここはどこだろう、いや、

「…Why?…確か、デュエルに負ければ俺は死んでしまうはず…じゃ」
ぐらぐらする、辛い、痛い。
立ち上がろうとしても上手く立てそうになくてベッドに寄りかかっていると、
俺の問いに答えてくれそうな人物がドアを開けて入ってきた。

「こういう場合はどう声をかけたらいいのかな…
グッドモーニング?それとも助けてくれてサンクス、かい?」
「…俺は別に助けたわけではない。少々あのデュエルは何か妙な力が働いたようでな、
何故か貴様が生き残った」
黒い鎧を相変わらずだが兜だけは外した状態の十代、いや覇王がそんなことを言いながら、
ベッドの上でどうにか動こうとする自分の元にやってきて、片手一つでベッドに再び縫い付けられる。

力の入らない自分の体を呪う。
何故、どうして、オリハルコンの瞳は奇跡を起こすはずじゃなかったのか、あの時の老人の言葉を呪う。
いや、そうじゃない。奇跡が起こらなかったのは自分のせいだ。
そうして…力及ばず十代を取り戻せなかった自分を呪う。

「今の貴様は随分といい顔をしているな、まるであの時の十代のようだ…」
「…え?……あ…ッ」
覇王から十代、なんて名前を聞いて思わず視線をやろうとすると、
するりと黒い甲冑に包まれた細い、けれど硬い手が俺の顔を包み込み、
覇王の顔が触れ合いそうなほど近くに近寄り、ちろりと赤い舌がオリハルコンの眼を舐める。
「何の力が働いたのだろうな?実に興味深い…
だから、こうやって貴様を生かしてやっているのだ。
…まあ、ついでに楽しませてもらおうとは思ったがな」
喉の奥で低く笑いながら覇王がちゅ、ちゅ、とわざと音を立てながら俺の顔に唇を触れさせる。
「…じゅ、」
十代、と言おうとした唇が覇王の唇に塞がれ、口内を蹂躙される。

ちがう、こんなのは違う、俺の知っている十代じゃない。
いつも明るくて、皆の中心で笑っていて、眩しくて、
傍にいて自分も笑っているだけで構わなかった。
触れたいとは思っていたけれど、こんな風なのは違う、違う、違うのに、逆らえない。

ぬるりと進入してきた舌をぎこちなく絡めて、受け入れる。
違う、俺の知っている十代はこんなことはしない、するイメージじゃない。違うのに、
十代じゃないのに、
こんなのは、ダメなのに。

「……っ」
上手く息継ぎが出来なくて苦しくて残った力を振り絞って圧し掛かっていた覇王を押し返す。
「…随分とキスが下手だな?」
「……お前は、」
随分と手馴れているといおうとして、覇王がそうだな、なんてこと言われたら、
十代が慣れているだの言われたらどうしよう、とか脳裏に過ぎって言葉に詰まる。
はあはあ、と息が整わない。

「…俺が何だ?」
「………」
「何、だ?」
硬い指先が胸元をつうっと触れるだけでびくりと体が震える。
心臓がばくばくと激しい音を出している。
どうしたって言うんだ。
こんな、こんな、
「…興奮しているのか」
「……ち、ちが……っあ!!」
「十代に触れられて、興奮しているのか?」
違う、違う!!と言おうとしたけれど、

おまえはこうしたいとずっと望んでいただろう?
心の中で、いつも十代を汚して犯したいと思っていたのだろう?

押し込めて殺していた俺の心の闇を覇王が引きずり出す。

がしゃりと鎧を外し、簡素な黒い服を肌蹴させ、白い肌を覗かせて、
覇王が逃げようとする俺の体を逃がさぬとばかりに俺に擦り寄り、耳に唇を寄せる。

「いいよジム。俺がお前の欲望…叶えてやるぜ?」

太陽のようだと思っていた十代の笑みを浮かべ、十代の顔で、十代の声で、
十代とはまったく違う闇を纏った覇王が俺の心も、体も自由を奪っていく。


あああ、あああああ。
十代の指で昂ぶって、覇王を受け入れていく体とは裏腹に、
心は言葉にならない悲鳴をあげるけれど、止まらない。止まらない。止められない。

「ジムは俺の事好きなんだろ?…俺もジムの事、好きだから…さ」
だから、楽しもうではないか。
酷薄な笑みを浮かべて笑う十代が、覇王が、俺を壊していく。

そう、望んでないなんて嘘だった。
ヨハンだけを追いかけるその背中を振り向かせて抱きしめたかった。

俺はもう、十代に、覇王に、手を伸ばし抱こうとする自分を止められなかった。

こんなのは間違えている。
わかっている。
こんなことをする覇王を呪いたくなる。
そもそもこの状況を作り出した元凶の十代を呪いたくなる。

だけど、そんなことは出来なくて
溢れる涙を流れるままにして、無力な自分を呪った。










おわり



10/06/30up

えろい覇王様!!えろいはおーはおー!!とか電波受信というか、すばらしい十覇百合エロSSを見て滾ったら
なんでかしらんがジムが押し倒されておったのじゃ。の巻。
覇ジムですがまあ、覇王様が誘い受けでジムがOKとルパンダイブしたに違いないのでジム覇でもあるつもり。

まあしかし、あんまりエロくなりませんでした。
つか、寸止めというか、精神攻撃がメインというカンジになってしまったなあ。
タイトルはなんとなくMTGの「CursedScroll」を思い出してそれっぽいカンジに。
いや、効果覚えてないんですが(待て)イラストがポーンと思い出したんですけど。なんでだろ。
効果調べてきた。なんていう痛いカード、どっちかというとオブっぽかった(笑)

とりあえず、このジムはきっと異世界から戻ったらジャンピング土下座で十代に謝り倒すにちがいない。

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