「十代パラダイス」
考えるんじゃない、感じるんだ。









ふと、気がつくと十代が視界中にあふれていた。

トンネルをぬけると雪国だった。とかいうフレーズから始まる小説もびっくりな展開である。

「ゆーべーるー」
きゃーと嬉しげに抱きついてくるのは僕と出会った頃の十代だ。
『え、じゅう、だい?』
「えへへーゆべるぎゅっとしてー」
にぱーっと笑っている小さい十代にどうしようかと悩んでいると、
小さい十代をひょいっと持ち上げる十代は僕のよく知る大人になった十代。

「あ、コラ待てそいつは俺のだぞ、ちびの十代」
「そうそう、僕のユベルだよ?」

ニコニコと僕の手を取って笑うのは古風な衣装に赤いマント、前世の十代だった。

「…俺のだって」
「…僕のだって」

緑とオレンジに瞳を光らせて十代が王子を睨み付けるけれど、王子も負けていない。
ゴゴゴゴとか背後になんかもう黒いオーラ駄々漏れで王子もにらみ返している。

「はいはいはいもうやめろよなー!!」

ギチギチとかミチミチとか空間がきしむような音を立ててにらみ合う二人の間から、
ひょっこりとかわいらしい双葉みたいな髪の毛を揺らしながら僕に再会する前ぐらいの年頃の十代が割ってはいる。
「ほら、ちびの十代泣きそうになってるじゃないかよー」
「そうだよお兄さん達!!こんな小さい子泣かすなんて悪いんだー!!
そういう悪い人はみどりさんに怒られるんだぜー!!」
ぷりぷりと怒る十代の指し示す方にはぐすぐすと鼻をすすっている小さい十代を
10という文字がプリントしてあるTシャツを着た小学生ぐらいの十代が慰めつつ、
十代と一緒に大きい十代と王子に対して文句を言う。
そうなれば二人ともバツの悪そうな顔をしてちびの十代に視線を合わせるようにしゃがみこみ、
「ごめんな」「ごめんね」と謝っている。

…うん。とてもいい場面なハズなんだけど視界にあふれる十代に頭が痛くなってくる。

『…なにこれ、もうわけがわかんない
誰か説明してよー!!あの大徳寺とかいう幽霊とかでもいいからーッ!!』
とか叫んでいると、
「そんなことよりもデュエルしようぜーー!!」
どかっとぶつかられる。
振り向けばやっぱり十代。
思いっきり僕にぶつかって痛そうな顔をしていたから
『…だ、大丈夫?』
とか声をかけてみたら、僕の顔を見て「精霊だ!」とうれしそうな声をあげる。
「うわーお前もハネクリボーとか万丈目のとこの光と闇の竜みたいな精霊なの?精霊なの?」
『…万丈目のところってそんな精霊いたっけ…』
「万丈目のとこほかにも精霊いるの?」
しかし、目の前の十代に聞いたところで、首をかしげている。

「よくわからないけどさ、デュエルしないのか?俺のM・HEROの力見せてやるぜー!!」
「…ならば、俺のE―HEROの力味わうか?」
あ、覇王も出てきた。
金色の瞳に黒い鎧という普通の人間ならばたじろぐ雰囲気の覇王に対して、
にまり、と十代が笑う。
「いーびる?何それ見たこと無いヒーローだな!!よっしゃ!!じゃあデュエルしようぜー!!」
楽しいデュエルをしようぜ!!と笑う十代を見て、大人びた十代が苦笑を浮かべる。
「あー、いいよな楽しいデュエル。俺にもああいう時代があったよなー…」
「お兄さん、デュエル楽しくないの?」
「僕は楽しいよ!…ユベルのこと、ぜんぜん召喚してあげれないけど…」
「俺も紅葉さんから譲ってもらったデッキぜんぜん使いこなせてないけどさ、デュエル楽しい!!」
ちびの十代二人に見上げられて大人の十代が「ちょっと昔のことさ」と笑う。
「楽しくない時期があったけどさ、あの伝説のキングオブデュエリスト武藤遊戯さんが俺とデュエルしてくれたんだ。
そのときにワクワクを思い出したぜ。だから今は大丈夫だぜ。な、ユベル」
『うん、そうだったね。…本当あのときの十代ってば子供みたいにはしゃいでさ?』
僕が笑うと十代が少し照れくさそうに笑う。

「武藤遊戯!?あの伝説のデュエリストとデュエル!?」
「すごいーすごいー!!」
ちびっ子がぱあああっと嬉しげに十代を見ている

「…俺には理解はできぬ」
「…うーん、世代が違うから僕にはすごさがわからないね、
ところでデュエルって何かな。ディアハの親戚みたいなものかな?」
覇王と王子は首をかしげている。

「任せろ!!遊戯さんのすごさをお前にも教えてやるって!!」
「そのためにもまずはデュエルだって!!デュエル!!デュエルしらないそっちのヤツにも教えてやるからさー!!」
二人分の双葉が興奮でぴょんぴょん跳ねている。
「デュエルー!!」
「デュエルーしようぜ!!」
わーわー、と騒ぎが大きくなってくる。
そこへ

「ちょっとまったー!!受験番号110番遊城十代!!セーフだよね!!」
黒い学ランを着た十代が飛び込んでくる。

ああ、またなんだか混乱してきた。もうここにどれだけの十代がいるのかわからない。

「まあ、気にしたら負けだって」
いつの間にか横にいた大人びた十代、たぶんいつも一緒にいるはずの十代が笑う。
『…気になるよ。悪いね、そういうの気になってたまらなくなる性格なの』
説明してよね、と睨みつけると、
そういう顔するなよ、と十代が苦笑を浮かべてから、説明にならない説明をしてくれた。

「だってほら、今日って2010年10月20日だろ?
世間じゃ十代二十代の日だーって事で盛り上がってるんだってさ」

『…ぜんぜんっわけわからないから!!』
「だから気にしたら負けだって、ほら、お祭りだと思って楽しもうぜ?」
『まあ、そりゃ十代まみれで嬉しいけどって!! 引っ張らないでよ十代!!』


そうして結局どうしてそんなに十代が増えたのかわからないまま、
10月20日の日付が変わるまで僕は十代にまみれて過ごす羽目になった。
まあ、幸せな時間だったけど、次があるときには十代が増えた理由が僕にも理解できるのだろうか。

…あんまり、わかりたくないけれどね。






fin



10/10/20up

今日は十代パラダイスの日だとお聞きしたので!!
十代ワラワラでハーレムウハウハーというユベルを書こうとしたら、
意外と常識に縛られて楽しめてないユベルさんが出来ていたという。
どういうことでしょう!!なんということでしょう!!
突発で書いたからしかたないのでしょう!!

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