「君の誕生日を祝おう」










その日もいつもどおりの何事も無い一日で、
違ったことといえば、ヨハンとどうせ明日は日曜日だし、夜通しでデュエルしないか?
なんて話になって、ひとりきりのレッド寮に今日はヨハンがいる。
…まあ、ヨハン以外にも大徳寺先生やファラオや精霊達がいるから一人ってわけじゃないのだけど。


「よっしゃーー俺の勝ちっと」
「くっそーーよっしもう一回!! もう一回―!!」

何度目かのデュエルの終わり、笑いあいながらデッキをシャッフルしなおしていると、
ヨハンの生徒手帳がぴろぴろと鳴り出した。
「…お?メール?」
なんだろうなあ、なんて言いながらメールを開いて文章を読みはじめる。


…何のメールだろ、こんな夜中に。もうすぐ日にちも変わるってのに…
なんて思いながらデッキをシャッフルしていた手を止めてヨハンを見ると、
何か嬉しい知らせでも書かれていたのか、ヨハンが照れくさそうに、へへっと笑っている。


「…誰からのメールだったんだー?ヨハン」
「え?ああ、アークティック校の同級生から」
ふうん、と相槌を打っていると、

「今日、ってかもうすぐ昨日になるけど。誕生日っての覚えててくれたらしくってさあ。
…まあ、時差があるからこんな時間になっちまったけど…メールでお祝いしてくれたんだぜー
家族たちにも朝起きたときにお祝いしてもらったけどさ、
へっへーなんか照れるよな、こういうの」

「へえー、ヨハン今日誕生日だったんだ………


……って、はい?
誕生日!?」

あわてて立ち上がってそう叫ぶと、
ヨハンが「あれー?言ってなかったっけー」とか首をかしげる。
「ぜんぜん聞いてねえ!!っていうかもっと早く言ってくれよ!!
…うっわあーーーーー!!もうこんな時間じゃねえか!!」


みれば、あと10分ほどで今日は終わりだ。


「十代―落ち着けよー」
誕生日を祝われるはずのヨハンはのほほんとそんなことを言う。
…そんな風にのほほんと構えられると余計になんかあわてる。

「バカ!!誰のせいだよ!!ちょっと待ってろよ!!確か食堂に何かあったはずだし!!」

確か、おやつに食べなさい、とかってトメさんからカップケーキをもらっていた。
おなか減ってないし、ヨハンの分も無いしもっと後で食べようって取っといてよかった。
それから…ろうそくだ!!ろうそく!!
なんかそれっぽいものが台所のほうにあったような気がする。
そんなことをあわてて思い出しながら、靴を履いて飛び降りるように乱暴に階段を駆け下りる。




で、なんとか残り5分弱に用意が出来て部屋に戻ることができた。

「……な、なんかすっげえ悪いことしちまったなあー…十代わりぃ」
「き、気にするなよ…」
ぜはーと、肩で息をしながら、カップケーキに豪快にただ白いだけのろうそくがぶっすりと刺さった
誕生日のケーキというにはあまりにも酷いモノをヨハンに手渡す。


「……だって、ヨハンの…誕生日だしさ?…祝ってやりたいし」
「………十代」
「………というわけで、誕生日おめでとう、ヨハン」
にへっとなんとか笑みを浮かべてそう言うと、

「ありがとう、十代。俺なんかすっげーーー嬉しいーー!!」
感極まったヨハンががばあっと俺に抱きついてくる。
…ケーキ落ちる!とか思ったけど器用にケーキを持ったまま抱きついてきた。

「ぐえっヨハン…早くケーキ食べろよ、ってか苦しい」
「うわ、悪い悪い!!あんまり嬉しいからさあーー!!」
やっと離してくれた。
やれやれ、とよれよれになった上着を伸ばしていると、
ヨハンが手にもったカップケーキを食べないで、そわそわとしている。
何かなと思って首をかしげて「食べないのかよ」というと
「十代、せっかくだし半分にして二人で食べようぜー」
「え、いいのかよ?」
「そっちのほうが絶対いいだろー!!」

最後の最後で普通だったはずの一日が、一瞬だけだけど忙しい日になった。
ああもう、ヨハンが力いっぱい抱きしめるから、なんだか腕とかに跡がついちゃっているけど、
まあ、今日はヨハンの誕生日だから許してやろう。








ハッピーバースデーヨハン!


11/06/12up

漫画版ヨハン誕生日でもあるんですが、まあ、アニメはわかんないので同じ日ということで!!
とりあえず祝う気持ちが大事なんだよ!!一日遅れでも気にするな!!
ハッピーバースデー!ハッピーバースデーだよー!!ヨハーン!!

↓の写真はとにかく11日にお祝いを!!とか思って作成した写真。
ブログにもアップしたけどこっちにも。




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