………いつもと変わらないはずの学園生活。
「十代、十代ってば、起きてよ朝だよ」
「ううう〜ユベル、もうちょっと、まだ眠い〜」
「だめだって、朝ご飯冷えちゃうよ!そろそろみんなも来るし起きてよう!」
ゆさゆさと布団をゆさぶってみても起きない。
もう、どうしてこんなに朝が弱いのかなあ?
それに、レッド寮が十代一人になってからますます十代の寝起きがひどくなった気がする。
もうこうなったら仕方ない。最後の手段だ。
「十代、起きなかったらキスするよ」
「起きる」
がばりと十代が起きた。
………だけど消えない違和感、いないはずの人間がいるのに誰も気がつかない。自分でもわからない。
「だって、勉強なんかどこがおもしろいかわかんねえよ」
イチゴジャムが入っていたドローパンをもごもごと十代が食べる。
「まったく十代は、こうやって学校に通って勉強できることに感謝したらいいのに」
僕は授業に出たくたって出られないってのに
って、あれ?
僕はいつも授業に出ているじゃないか。
十代や他の皆と一緒に。
騙されているのか、騙しているのか、
これは誰が見ている夢なのか、誰が見せている夢なのか
「くだらぬ茶番だ」
金の瞳を持つ王は冷ややかに
「お前は酷い奴だ」
黒い少年は赤い少年を睨みつける。
「さよなら」
「また、明日」
「………うん、また明日」
そうして、
「お、ようやく来たんだ」
不意に歌が止む。
「うん。きたよ十代」
「そっか」
………夢のような時間は終わる。
「ユメノスフィア」
万華鏡に閉じ込められた綺麗で儚い幻、零れ落ちる夢の欠片は触れてしまえばもう同じ形に戻らない。
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