「その人は拾われてやってきた」


1、

遊星が人を拾って帰ってきた。
D・ホイールに使えそうな部品をジャンク屋で探してくると行って出て行って
ジャンクじゃなくて人を拾ってきた。

「いやー助かったよ!!コッチ来るのすげえ久しぶりでさ!!
あんな風になってるなんて知らなかった!!」
「…危ないところだったな、あのまま進めばセキュリティに捕まっていた」
「……うわ、本当に俺、危なかったんだ?」
まあでも、遊星に助けられてよかったよ!!とアハハと気楽そうに笑う赤い上着の青年
…名前は遊城十代というらしい。
話を聞いてみると世界中を飛び回ってる最中にフォーチュンカップの話を聞き
フォーチュンカップを見に来たらしいのだが、ついてみたらとっくの昔に終わっていたので、
ネオ・童実野シティを見学だけでもしていこうと思ってフラフラしていたそうだ。
「…で、遊星に助けられたというわけね」
「まあ、俺は何もしていないが」
ちらりとアキが視線を向ける先には、すっかり龍亞と龍可の双子と仲良くなって一緒に遊んでいる十代がいる。
「…大丈夫なの?」
「…ああ、悪い人物ではなさそうだ」
「凄く胡散臭そうに見えるのだけど」
どうもアキは突然現れた十代なる人物を信用できないようだ。
…見知らぬ人間が突然現れたから警戒しているだけだろう。と遊星は考える。
「ところで、さっきから…それ、デュエルディスク…の修理?随分古そうな型のモノね。」
どこかで見たような形…とかアキが首をかしげるが、思い出せないらしい。
「十代のモノだ、さっき龍亞とデュエルしようとしたとき少し調子がおかしかった。
古い型のものを改造しながら使っているらしいからな…不具合も出るだろう。
…終わったぞ、十代」
それを聞いて十代が双子達の傍から嬉しそうに走ってきて遊星からデュエルディスクを受け取る。
…まるで子供みたい、年齢は私達よりも上に見えるのにとアキがそんなことを思いながら見つめてしまう。
その視線にしばらく十代は首をかしげていたが、何かを思い出したらしい。
「あー!!十六夜アキだ!!…うわー会えるなんて思ってなかったから嬉しいなあ!!
すげえ強いデュエリストなんだろ?後で俺とデュエルしてくれよな!!」
一方的にそんなことを言いながら、強引にアキの手を取りぶんぶんと握手してから
「勿論!!遊星ともデュエルするぜ!!してくれるよな?」
「ああ」
遊星にそんなことを言ってから双子の元に戻っていった。

「…やっぱり変な人」
「そうか?」
不機嫌そうに呟くアキの頭を撫でながら遊星が優しい笑みを浮かべてアキを見ていたので
…十代の使っているデュエルディスクが色は違えど、
3年前まで通っていたデュエルアカデミアで見たことがあったことを思い出すには、
十代からデュエルアカデミアの話が出るまで思い出せずにいた。



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