「その人は拾われてやってきた」
3、
遊城十代という男は非常に変な男だ。不思議な男だ。
年齢は30手前に見えるが年齢不詳、昔の童実野町を知っているところからすると結構な年だと思うが。
性格や行動は非常にわかりやすく、強いヤツと楽しくデュエルできればドコでも行くらしい。
使うデッキは1、2世代前ぐらいに流行っていたと記憶している古いデッキだ。
…だけど、それで弱いというわけではない。
むしろ、強い。
今のタイプのデッキが理解できないだの、使えないという事でもない。
実際、メインデッキ以外に練習用に持っているというサブ用のデッキには今流行のタイプだった。
4戦して辛うじて2勝したが、1勝目は彼の本来のデッキではなかったらしいし、
2勝目…単純に俺のほうが運が向いていただけだろう。
しかし、彼とのデュエルは清々しく、久しぶりに純粋に楽しいと思えるようなデュエルだった。
「でかい大会の真剣なデュエルもすげえイイけど、俺はこういう気楽なデュエルのほうが好きなんだ」
まるで少年のように笑う十代に俺も自然と笑みを浮かべて俺も同じだと答えた。
「…一時期、すげえデュエルするのがしんどい時期があってさ。
その時に楽しくデュエルすることをもう一度教えてくれたのが、この童実野町に住んでた人でさ、
フォーチュンカップ見るってのも目的の一つだったけど、
もうあの人はこの町にいないけど初心に戻るために寄ったら
…まさかこんなに変わっているとは思わなかったなあ」
あ、そう来るときには俺だったらこっちを出してシンクロ召喚させるかな、
と呟きながらぺちりとカードをフィールドに見立てた机の上にぺちりと置く。
十代と一緒にお互いのデュエルの研究のためにデュエルディスクを使わずカードのみで
解説を交えながら模擬戦をしているときにそんな話が出た。
「…昔はココに修学旅行に遊びにきたりとかしたのに、
まさか俺の通ってた学校こっちにも開校してるとは思わなかったなあー」
昔と今は全然違うらしい。彼の話から想像しか出来ないが
…少しだけ、その時代に生まれていて十代と同級生であれば、面白かっただろうな呟くと
「そうだろうなー、絶対いい友達になれたと思う。
あーでも、俺学生のとき結構なさけないこともしてたからなあ、
それで友達に酷く迷惑かけたことあるから、幻滅されるかも。
遊星なら俺の同級生達とは確実に仲良くなれたと思うぜ…今でもなれる気がするけど、
あいつらおっさんになっちまってるしなあー、うーん」
…それを言うなら十代も彼らと同じ年代なのだから、彼の言うところのおっさんだろうにとか思うが
本当、年齢がわからない。
まるで同年代のように思うときもあるし、
随分年上の大人のようにも感じる。
そんなことを考えているとちょうど自分のターンだったので手札からカードを一枚場に出す。
「あー遊星、それ使っちまうの?」
「む?」
「今のこの状態だったら…こっちの手札にコレとか…
あと、コッチとかさ…あとこっちのトラップカードとか場にあったらカウンターが来ると思うけど」
「…しまった」
珍しいミスをしてしまった。
「珍しいな遊星にしては珍しい凡ミスだなー何か考え事でもしてたのか?」
ほんの数日前に知り合ったばかりなのに、もう既に何年も前から知り合いのような気がする。
…不思議な男だ。と何度目かの感想を抱きながら、たわいも無い会話は続く。
いつか、それも近いうちに彼もまた旅に出るためにこの街から去る予感はしていたが
…今はそれを考えないで、楽しいデュエルをしよう。
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